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物質・医薬品誘発性睡眠障害

物質・医薬品誘発性睡眠障害

Substance/medication-induced sleep disorder

 

疾患の具体例

38歳、男性。何年も前から、寝酒をする習慣があります。以前は、アルコールを摂取するとよく眠れると思っていましたが、最近は寝付いたとしても何度も目が覚めます。やけに鮮明で不安感のある夢をよく見て、まったく熟眠感がありません。翌日になっても疲労感が取れず、たびたび仕事を無断欠勤しています。

 

特 徴

物質・医薬品誘発性睡眠障害の基本的特徴は、何らかの物質(乱用薬物、医薬品、毒物)の薬理学的結果として生じる著しい睡眠障害です。症状は(1)不眠型、(2)日中の眠気型、(3)睡眠時随伴症型(睡眠時の異常行動)、(4)混合型((1)〜(3)のうち複数の症状があるが、どれも優勢ではない)に分類され、いずれも物質の中毒や中断/離脱状態に関連してのみ生じます。

○中毒時に睡眠障害が生じ得る物質

アルコール、カフェイン、大麻、オピオイド、鎮静薬、睡眠薬または抗不安薬、精神刺激薬(コカイン含む)、その他(または不明)

 

○離脱時に睡眠障害が生じ得る物質

アルコール、カフェイン、大麻、オピオイド、鎮静薬、睡眠薬または抗不安薬、精神刺激薬(コカイン含む)、タバコ、その他(または不明)

 

○睡眠障害が生じ得る医薬品

アドレナリン作動薬・拮抗薬、ドパミン作動薬・拮抗薬、アセチルコリン作動薬・拮抗薬、セロトニン作動薬・拮抗薬、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイド

 

物質によっては使用中断から4週間くらいまで、この障害が生じる可能性があります。ただし、他の睡眠障害も物質使用の前に発症したり、断薬中に起きることがあるので、既往歴や身体診察、検査結果から、中毒や離脱があるかどうか確認することが重要です。なお、物質・医薬品誘発性睡眠障害は、他の睡眠障害では説明がつかず、特別な治療が必要なほど睡眠障害が顕著な場合にのみ、物質中毒(または物質離脱)に代わって診断さます。

 

有病率

子どもから成人、高齢者のすべてに物質・医薬品誘発性睡眠障害が生じる可能性があります。高齢者は複数の薬を飲んでいることが多いため、この障害を引き起こすリスクが高いと言えます。また、アルコールなどに関連した物質・医薬品誘発性睡眠障害は、女性のほうが男性よりも約2:1の比率で生じやすいことがわかっています。肝機能の性差などが関係しています。

 

原 因

気質要因:ストレスが強い状況や、睡眠の環境や時間帯が変わったことで不眠になりやすい人は、物質・医薬品誘発性睡眠障害のリスクも高い可能性があります。

 

診断基準:DSM-5

A. 顕著で重篤な睡眠の障害

B. 既往歴、身体診察、または検査所見から、次の(1)および(2)の両方の証拠がある。

  1. 基準Aの症状が、物質中毒中またはその直後、または医薬品からの離脱または曝露の後に生じている。
  2. 関連した物質・医薬品は基準Aの症状を生じる可能性がある。

 

C.その障害は、物質・医薬品誘発性ではない睡眠障害ではうまく説明されない。そのような独立した睡眠障害の証拠には、以下のものが含まれるであろう。

症状が物質・医薬品の使用開始に先行する;症状が、急性の離脱または重篤な中毒が終わった後、相当な期間(例:約1カ月)持続している;または物質・医薬品誘発性でない睡眠障害が独立して存在していることを示唆する他の証拠(例:物質・医薬品に関連しない反復エピソードの既往歴)がある。

 

D.その障害は、せん妄の経過中に限って起こるものではない。

E.その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

注:この診断は、基準Aの症状が臨床像において優勢であり、かつ臨床的関与に値するほど十分に重度であるときのみ、物質中毒または物質離脱に代わって下されるべきである。

 

いずれかを特定せよ

不眠型:入眠困難または睡眠維持が困難で、夜間の頻回覚醒または疲労回復感のない睡眠が特徴である。 日中の眠気型:覚醒時間中の過剰な眠気/疲労感の訴えが顕著であるか、より頻度は少ないが、長い睡眠時間帯が特徴である。

睡眠時随伴症型:睡眠中の異常行動が特徴である。

混合型:複数の型の睡眠症状があるが、どの症状も優勢ではない、物質・医薬品誘発性の睡眠の問題を特徴とする。

 

該当すれば特定せよ

中毒中の発症:その物質・医薬品による中毒の基準を満たし、症状が中毒中に発症した場合は、この特定用語が用いられるべきである。

中断または離脱中の発症:その物質・医薬品の中断/離脱の基準を満たし、症状が物質・医薬品中止の期間中または直後に発症した場合は、この特定用語が用いられるべきである。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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