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大麻使用障害

大麻使用障害

Cannabis Use Disorder

 

疾患の具体例

25歳、男性。1年ほど前に、クラブで知り合った人から大麻をもらい、好奇心で吸ってみたところ気分がリラックスし、音楽を聞くことがより楽しく感じました。以降、毎日のようにクラブに通って大麻を使用していました。最初は無料でもらっていましたが、途中から数万円を要求されるようになりました。大麻を買うために消費者金融で借金をし、生活は困窮しています。それでも、大麻をやめることはできません。

 

特 徴

大麻使用障害は、大麻を大量あるいは長期間にわたって使用すること、自分でコントロールできなくなることが基本的特徴です。大麻に対する強い渇望があり、大麻を得るための行動には労をいといません。大麻を使用することによって健康上の問題が生じたり、仕事や学業、人間関係などに問題が起こったりしても、大麻をやめることができません。

 

大麻の煙には高濃度の発がん性物質が含まれています。そのため、大麻を慢性的に使う人は、タバコの喫煙者と同じように、呼吸器疾患のリスクが上がります。また、大麻の慢性使用は他の精神疾患の発症や悪化の要因になる可能性があります。特に、統合失調症や他の精神病性障害の一因となることが懸念されています。

さらに、大麻使用障害のある人は、認知機能が障害されると考えられており、大麻の使用量が多いほど深刻な状態になるようです。なにか目的を持って行動することができなくなることがあり、それは無気力症候群とも呼ばれます。

 

なお、若いうちから大麻使用障害になる人の多くは、それ以前に素行の問題があります。非行の一部として、仲間と一緒に大麻を過剰摂取することが典型的です。使用を継続しているうちに、身体的あるいは行動上の問題が生じますが、やめることができなくなります。重症例では、1人で終日大麻を使用するようになり、日常生活が大きく損なわれます。

 

有病率

アメリカにおいて大麻は、カフェイン、アルコール、ニコチンに次いで4番目に使用頻度の高い精神作用物質です。大麻使用障害の12カ月有病率は、12〜17歳でおよそ3.4%、18歳以上で1.5%です。もっとも有病率が高い年代は18〜29歳(4.4%)で、男女比は成人男性(2.2%)に対し、成人女性(0.8%)です。

 

経 過

大麻使用障害の発症がもっとも多いのは青年期と成人期初期です。伝統的に、タバコやアルコールと同様に、青年が初めて試みる精神作用物質であることが関係していると思われます。通常、長い時間をかけて発症しますが、青年期(特に素行に問題を抱えている場合)はより急速に進行するようです。

近年、使用増加が問題となっているのは、「大麻はタバコやアルコールよりも害が少ない」と認識している人が少なくないためです。また、通常の大麻中毒は、重度のアルコール中毒ほど深刻な問題が生じないことも、大麻使用のハードルを低くしているのかもしれません。

 

原 因

気質要因:

小児期や青年期に素行症があったり、反社会性パーソナリティ障害があったりすることは、大麻使用障害を含む物質関連障害群を発症する危険要因です。

環境要因:

学業不振、タバコの喫煙、不安定な家庭環境あるいは虐待、近親者の大麻使用、物質使用障害の家族歴、低い社会経済的地位が危険要因になります。

 

治 療

大麻使用障害を含む大麻関連障害の治療は、大麻からの離脱と支持的な精神療法が基本です。離脱は、入院あるいは通院をして尿検査を受け、慎重に監視を受けながら大麻を使わずに過ごします。精神療法は、個人療法、家族療法、集団療法などが行われます。

 

診断基準:DSM-5

A. 大麻の問題となる使用様式で、臨床的に意味のある障害や苦痛が生じ、以下のうち少なくとも2つが、12カ月以内に起こることにより示される。

  1. 大麻を意図していたよりもしばしば大量に、または長期間にわたって使用する。
  2. 大麻の使用を減量または制限することに対する、持続的な欲求または努力の不成功がある。
  3. 大麻を得るために必要な活動、その使用、またはその作用から回復するのに多くの時間が費やされる。
  4. 渇望、つまり大麻使用への強い欲求、または衝動
  5. 大麻の反復的な使用の結果、職場、学校、または家庭における重要な役割の責任を果たすことができなくなる。
  6. 大麻の作用により、持続的、または反復的に社会的、対人的問題が起こり、悪化しているにもかかわらず、その使用を続ける。
  7. 大麻の使用のために、重要な社会的、職業的、または娯楽的活動を放棄、または縮小している。
  8. 身体的に危険な状況においても大麻の使用を反復する。
  9. 身体的または精神的問題が、持続的または反復的に起こり、悪化しているらしいと知っているにもかかわらず、大麻の使用を続ける。
  10. 耐性、以下のいずれかによって定義されるもの:
    (a)中毒または期待する効果に達するために、著しく増大した量の大麻が必要
    (b)同じ量の大麻の持続しようで効果が著しく減弱
  11. 離脱、以下のいずれかによって明らかとなるもの:
    (a)特徴的な大麻離脱症候群がある
    (b)離脱症状を軽減または回復するために、大麻(または密接に関連した物質)を
    摂取する。

 

該当すれば特定せよ

寛解早期:大麻使用障害の基準を過去に完全に満たした後に、少なくとも3カ月以上12カ月未満の間、大麻使用障害の基準のいずれも満たしたことがない(例外として、基準A4の「渇望、つまり大麻使用への強い欲求、または衝動」は満たしてもよい)

 

寛解持続:大麻使用障害の基準を過去に完全に満たした後に、12カ月以上の間、大麻使用障害の基準のいずれも満たしたことがない(例外として、基準A 4の「渇望、つまり大麻使用への強い欲求、または衝動」は満たしてもよい)

 

該当すれば特定せよ

管理された環境下にある:この追加の特定用語は、その人が大麻の入手を制限された環境下にある場合に用いられる。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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