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こころの病気のはなし > 専門編 > 短期間の軽躁病を伴う抑うつエピソード

短期間の軽躁病を伴う抑うつエピソード

減弱精神病症候群(準精神病症候群)

Depressive Episodes with Short-Duration Hypomania

 

特 徴

「短期間の軽躁病を伴う抑うつエピソード」は、抑うつエピソードがある人が、2〜3日の軽躁病エピソードを少なくとも2回経験している状態を指します。

抑うつエピソードは、ほとんど毎日、本人が「悲しい」「空しい」「希望がない」などと言ったり、涙ぐんでいたりして表出します。あるいは、ほとんどすべての活動に対する興味や喜びが失われる、食事制限をしていないのに痩せる、ほとんど毎日眠れない(または眠り過ぎる)などの症状も現れます。ほかに焦燥感、疲労感、無価値感、集中力の減退などが生じたり、自殺について考えたりすることもあります。

 

軽躁病エピソードは、異常に高揚したり、いらだたしい気分になったりします。あるいは自尊心が異常に強くなったり、眠らなくても平気になったり、普段より多弁になったりします。抑制が効かなくなり、買い物をし過ぎたり、無分別な性行動をとったりすることもあります。しかし、仕事や社会生活に明らかな支障を来したり、入院が必要になったりするほど重度ではありません。

こうした軽躁病エピソードは「双極性障害」の診断要件になっていますが、その場合は4日以上持続する必要があります。「短期間の軽躁病を伴う抑うつエピソード」の軽躁病エピソードは2〜3日と短い点で異なります。ただ、症状の強さは通常の軽躁病エピソードと同水準で、正常な状態とは明らかに違う行動の変化を生じさせます。

 

※注意

ここに掲載した一連の基準は臨床現場で用いるためのものではありません。DSMの公式の精神疾患診断として採用するには証拠が不十分ですが、今後の研究のために専門家によって示され、検討されている案です。

 

有病率

短期間の軽躁病の有病率ははっきりしていませんが、DSM-5とは若干異なる基準を用いると人口の2.8%に起こると推定されています(通常の軽躁病ないし躁病は人口の5.5%)。また、短期間の軽躁病は男性より女性に多いかもしれません。

 

原 因

遺伝要因と生理学的要因:

短期間の軽躁病を持っている人は、躁病の家族歴が一般人口に比べて2〜3倍高くなっています。しかし、躁病症候群または軽躁病症候群の病歴のある人たちに比べると、半分以下です。

 

診断案:DSM-5

これまでに、以下の基準を満たす少なくとも1回の抑うつエピソードを経験していること。

 

A.以下の基準の5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分、または(2)興味または喜びの喪失のいずれかである。(注:明らかに医学的疾患に帰することのできる症状は含めてはならない)。

  1. その人自身の言明(例:悲しい、空しい、あるいは希望がないと感じる)か、他者の観察(例:涙ぐんでいるように見える)により示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分 (注:子どもおよび青年では、いらだたしい気分もありうる)
  2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味または喜びの著しい減退(本人の言明、または他者の観察によって示される)
  3. 食事制限をしていないのに、著しい体重減少または体重増加(例:1カ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または亢進(注:子どもの場合、期待される体重増加がみられないことも考慮せよ)
  4. ほとんど毎日の不眠または過眠
  5. ほとんど毎日の精神運動焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)
  6. ほとんど毎日の疲労感または気力の減退
  7. ほとんど毎日の無価値感、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)
  8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(本人の言明による、または他者によって観察される)
  9. 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮または自殺企図、あるいは自殺を実行するための具体的な計画

B. この症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. この障害は、物質または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

D. この障害は、統合失調感情症害によってうまく説明されるものではなく、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害、または、他の特定されるまたは特定不能の統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害に重なっているものでもない。

 

これまでに少なくとも2回の軽躁病期のエピソードがあり、以下に示した必要な症状基準を満たすが軽躁病エピソードの基準を満たすだけの持続期間に達していない(少なくとも2日間以上であるが連続4日間には達しない)。

A. ある際立った期間、異常にかつ持続的に高揚した、開放的な、またはいらだたしい気分と、異常にかつ持続的に増大した、目標指向性の活動または活力が認められる。

B. 気分の障害があり、活力と活動の亢進が存在する期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)が持続しており(気分が単にいらだたしい場合は4つ)、通常の行動とは明らかに変化した行動がみられ、またはっきりと認められる程度に存在している。

  1. 自尊心の肥大、または誇大
  2. 睡眠欲求の減少(例:3時間眠っただけでよく休めたと感じる)
  3. 普段より多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫
  4. 観念弄逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験
  5. 本人の言明または他者の観察による、注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないかまたは関係のない外的刺激によって他に転じる)
  6. 目標指向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動焦燥
  7. まずい結果になる可能性が高い活動に過度に熱中すること(例:制御のきかない買いあさり、性的無分別、またはばかげた投資に専念する人)

C. エピソードには、その人が症状のないときの特徴とは異なる明確な機能変化が随伴する。

D. 気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E. エピソードは、社会的または職業的機能に明らかな障害を起こすほど、または入院を必要とするほど重度ではない。もし精神病性特徴が存在するのであれば、そのエピソードは、定義に従って、躁病性のものである。

F. エピソードは、物質(例:乱用薬物、医薬品、または他の治療)による生理学的作用によるものではない。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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