トップページ 診療案内 各種プログラム こころのはなし ご家族 スタッフ募集 サイトマップ English
こころのはなし

こころの病気のはなし > 一般編 > 限局性学習障害

心の病気の種類

限局性学習障害

● 症状

限局性学習障害は、全般的な知的能力は保たれているのに、ある分野に限って著しく学習が困難な障害です。そのために学業や職業、日常生活などに大きな支障を来します。小学生のうちから学力が低いため、その後の学校教育にもついていけず、成人後は失業や低所得となる割合が高いとされています。抑うつ状態や自殺念慮などの危険性も高くなります。ただ、高水準の支援を受けることで、予後が改善されることがわかっています。

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』によると、限局性学習障害は以下3つのタイプがあります。

 

読字の障害を伴う

単語の理解が困難で、文章を読むのが遅く、不正確な障害です。文章を読んで理解することや、文字をつづることも困難です。一つの単語のどの部分が、どの発音を表すかを瞬時に理解できず、正しい発音もなかなかできません。限局性学習障害の子どもや青年の75%に見られると報告されています。アメリカの子どもの4〜8%が読字、綴字(文字をつづること)、読解の障害を含有する失読症があると推定されています。

 

書字表出の障害を伴う

書字表出とは、言語的理解を伝え、考えを表現することを言います。この障害のある子どもは、文字のつづりを間違えたり、文法や句読点を理解できなかったり、手書き文字が下手だったりします。例えば、短い文でも単純な文法を間違えたり、何度教えても文末に「。」をつけることを忘れたりします。この障害は学童期の子どもの5〜15%に見られますが、成長とともに症状が軽くなることが多く、大人になるまで続く割合は4%です。読字の障害と併存することが多いものの、単独で発症することもあります。

 

算数の障害を伴う

数字を読んだり覚えたりすることが困難で、足し算や引き算、九九といった基礎も覚えられず、計算は遅く不正確な障害です。小学校2〜3年生までは機械的な記憶でかろうじて算数を乗り切ることができても、それ以降の空間的・数量的識別が必要な段階になると困惑してしまいます。この障害が単独で存在する子どもは約1%で、男児より女児に多い傾向があります。また、読字や書字の障害を伴う子どももいます。

 

● 他の病気との関係

限局性学習障害は、知的能力障害群、視力、聴力の障害、他の精神または神経疾患などではうまく説明できない場合に診断されます。ただし、限局性学習障害とADHDは高い頻度で併存します。

 

● 原因

限局性学習障害は、遺伝が大きく関係していると考えられています。また、母親の妊娠中や出産時に脳損傷を負ったり、神経疾患があったりすることも、限局性学習障害の発症に関わっていることがあります。母親が妊娠中にアルコールや薬物を摂取することも関係しています。

 

読字の障害を伴う

MRIを用いた研究により、左脳の側頭平面が右脳の同じ部位より非対象であると報告されています。PET(陽電子放出断層撮影)を用いた研究では、読字の障害のある子どもは、そうでない子どもと左側頭葉の血流パターンが異なると報告されています。 また、脳性まひやてんかんのある子どもは、読字の障害の発生率が高いようです。発達早期に長期間にわたって低栄養状態だった子どもも、読字を含む認知機能が低下するリスクが高いとされています。

 

書字表出の障害を伴う

書字表出の障害は、読字の障害と原因が似ており、遺伝要素が大きいことがわかっています。一説によると、書字表出の障害は、読字の障害と言語症が組み合わさった結果と考えられています。

 

算数の障害を伴う

算数の能力は、読字の能力に比べて教育の量や質が関係するところが大きいようです。遺伝、発達、認知、情動、教育、社会経済的要因など、複数の原因が組み合わさっていると考えられています。低出生体重児がこの障害のリスク因子でもあります。

 

● 治療

読字の障害を伴う

語音とつづりの関係に重点を置く特別支援が必要とされます。文字に対応する音を理解したあとに、音節や単語などさらに大きな構成要素を理解するよう支援します。軽度の場合は小学校1〜2年には特別支援がいらなくなることもあります。重度の場合は、中学校や高校まで特別支援を続けることになるでしょう。

 

書字表出の障害を伴う

綴字や文を書くことの直接的な練習と同時に、文法の復讐を含む特別支援が必要とされます。書字の介入は、その子どもと支援する側の関係性がうまく結べるかどうかが、治療効果に大きく影響します。集中的かつ持続的にマンツーマンの支援が受けられれば、望ましい結果が得られる傾向があります。

 

算数の障害を伴う

基本的な計算の能力を改善するための特別支援が必要とされます。小学校低学年で特別支援を受けられれば、非常に反応がよいとされています。就学前の段階で算数の障害の徴候がある場合は、数字の認識や数字の順序などについて支援をすることが望ましいでしょう。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

こころのはなし こころの病気の知識 こころの病気のはなし-1こころの病気のはなし-2こころの病まめ知識福祉用語の基礎知識 お役立ち情報自立支援医療制度デイケア社会資源情報社会資源情報こころの健康アラカルトクリニック広場デイケア通信患者様の活動リンク集 トップページへ