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こころの病気のはなし > 一般編 > 自閉スペクトラム症

心の病気の種類

自閉スペクトラム症

● 症状

自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害)は、かつて広汎性発達障害と呼ばれていた障害です。もともとアメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-4』では、自閉性障害、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害、レット障害、特定不能の広汎性発達障害の5つが独立した障害として捉えられていました。その後、2013年に公開された『DSM-5』において、すべて自閉スペクトラム症という障害にまとめられました。

「スペクトラム」は「連続体」「一続き」「分布範囲」といったニュアンスの言葉です。自閉スペクトラム症は、軽症で定型発達とあまり変わらない人から、重度の知的能力障害のある人、知的能力は高い一方でコミュニケーションが困難な人などさまざまで、それぞれの境界線はあいまいです。

自閉スペクトラム症の中核症状は「社会的コミュニケーションの障害」と「限定された反復的な行動」の2種類です。従来の自閉性障害では、言葉の遅れや使用の障害が中核症状とされていましたが、自閉スペクトラム症においては一部に見られる随伴所見と位置づけられました。詳細は以下の通りです。

 

 ◎中核症状

社会的コミュニケーションの障害

自閉スペクトラム症のある子どもは、乳児期に社会的微笑(楽しいからではなく、無意識の笑顔)をせず、ベビーカーから抱き上げてもらう時に両手をあげるなどの姿勢(予測的姿勢)をしないという特徴があります。両親や兄弟、幼稚園の先生などへ愛着を示す行動が乏しく、知らない人の中に取り残されても平気なように見えることがあります。

小学校にあがっても、日常的な会話のキャッチボールがうまくできず、話している時にあまり表情が変わらなかったり、身振り手振りが少なかったりします。相手の気持ちを察することが苦手で、友達同士の付き合いが困難になりがちです。

この障害のある子どもは、友達が欲しいという気持ちはあります。知的能力に障害のない自閉スペクトラム症の子どもは、「自分は相手の気持ちを理解できないために友達ができにくい」と自覚していることがあります。

 

限定された反復的な行動

自閉スペクトラム症のある子どもは、興味のある物をなめたり、手で触ったり、放り投げたりといった探索的な遊びをあまりしません。この障害のある子どもの遊び方は柔軟性に欠け、反復的な点が特徴的です。流れる水をじっと見続けたり、特定の物だけに強い愛着を示すこともあります。おもちゃを通常通りに使わず、一列に並べる、叩くといった単調な使い方をすることがあります。

変化に対する抵抗感が強く、小さな変化に対しても極度の苦痛、困難さを感じます。例えば、毎日同じ道順でなければ気が済まなかったり、同じ物を食べたりすることにこだわったりします。いつもと違って食事の前にお風呂に入るだけでかんしゃくを起こしたり、パニックになったりすることもあります。

重度の知的能力障害のある子どもは、目の前で手をひらひらさせるなどの自己刺激行動や、自傷行為をする割合が高くなります。

 

◎随伴する所見

言葉の発達や使用の障害

自閉スペクトラム症のある子どもの一部には、言葉の遅れや使用の困難さが見られます。1歳になっても喃語を話さなかったり、話してもごくわずかだったりします。意図せず舌打ちをしたり、金切り声を上げたり、意味のない言葉を繰り返したりすることもあります。代名詞を逆転した話し方をするのも特徴的で、自分はおもちゃが欲しいことを「あなたはおもちゃが欲しい」と表現することがあります。患者さんによっては、独特の声やリズムで話します。

知的能力が非常に高い子どもの場合は、文字や数に強い興味を持ちます。文章の意味は理解しなくとも、非常に流暢に読むことができる(過読症)場合もあります。

 

知的能力障害

自閉スペクトラム症のある子どもの約30%は知的能力障害の範疇に入ります。そのうち30%は軽度〜中等度、45〜50%は重度以上の知的能力障害です。

 

易刺激性

この障害のある子どもは、ささいなことで攻撃的になったり、かんしゃくを起こしたり、自傷行為をすることがよくあります。知的能力障害のある子どもは、周囲の予期しないことで壁に頭を打ち付けたり、皮膚をむしったり、自分をかんだりすることがあります。

 

早熟の才能

この障害のある子どもの中には、機械的記憶や計算能力がやたらと高く、定型発達の子ども以上に優れていることがあります。

 

ほかに、気分と感情の不安定性や、多動と不注意、不眠、軽度の感染症と消化管障害が伴う場合もあります。感覚刺激に対する反応の異常があり、音や痛みに過敏な一方、他の刺激に鈍感なこともあります。そのため、耳が聞こえなかったり、口がきけなかったりするように見える子どももいます。

 

● 原因

自閉スペクトラム症は遺伝の要素が大きく関わっています。この障害のある子どものいる家庭では、兄弟にも同じ障害を抱える割合が50%にものぼります。ただ、必ずしも遺伝だけで説明できるものではありません。出生時の父母の年齢が高いこと、母親の妊娠中に出血や妊娠糖尿病があったこと、第一子であることなどもリスク要因とされています。

なお、親の情緒的な問題や、子育ての方法は自閉スペクトラム症の発症と関係ありません。

 

● 治療

社会技能訓練、行動療法、認知行動療法などが行われます。この障害のある子どもの親が、適切なかかわりかたを身につけるためのペアレントトレーニングを受けることもあります。また、易刺激性や多動、衝動性、不注意などの行動に対して精神科の薬を使うこともあります。

なお、自閉スペクトラム症は、典型的には2歳までに明らかになりますが、軽症の場合は9歳頃までわからないことがあります。男児のほうが女児より4倍多く見られます。基本的には一生続く障害ですが、5〜7歳までに言語能力を発達させることができれば予後は良好とされています。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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