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こころの病気のはなし > 一般編 > 注意欠如・多動症

心の病気の種類

注意欠如・多動症

● 症状

注意欠如・多動症(ADHD)は、課題を成し遂げることができない、思いつきで突発的な行動をとる、3分としてじっとしていられない、などの特徴がある障害です。男子の有病率は女子より高く、2対1〜9対1と推定されています。

 

多くの場合、幼児期や学童期に発症します。まれに乳児期に発症することもあり、そうした子どもはベビーベッドの中で活発に動き、あまり眠らず、よく泣くことが多いようです。 学童期の子どもでADHDがある場合は、学校の授業中にせっかちな態度をとりがちです。例えば、誰よりも素早くテストに取り組むものの、最初の2問くらいしか回答しないとか、教師に当てられるのを待てずに発言する、といった具合です。

そのため、学業がうまくいかず、対人関係や社会生活にも影響があります。ADHDのあることを自覚している子どもは、やる気がなかったり抑うつ状態だったりすることもあります。 ただ、学校で集団行動をしているときはADHDの症状が目立つけれど、誰かと1対1でいる時や、スポーツなどをしている時などは目立たないことがあります。そのため、ADHDと診断するには、少なくとも2つの異なる状況において症状が続いていることが条件になっています。

 

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』では、ADHDには「不注意優勢型」と「多動性-衝動性優勢型」の2種類があると定めています。どちらかが顕著に現れる人もいれば、両方が混在する人(混合型)もいます。

 

ADHDは学童期の子どもの5〜8%に見られ、診断された子どものうち60〜85%は思春期に入っても症状が続きます。また、60%は大人になっても症状が続きます。

大人のADHDも、子どもと同じように学習症や不安症、気分障害を伴うことがよくあります。物質使用障害を呈する人もいます。

 

●他の病気との関係

ADHDは限局性学習症や不安症、気分障害、秩序破壊的な行動の障害をしばしば合併します。 攻撃性や反抗的態度など、行動上の症状がある子どもも多くいます。

 

●原因

遺伝要因

ADHDは遺伝することが多く、遺伝率は約75%です。両親やきょうだいがADHDの人の発症率は、そうではない人の2〜8倍になります。

 

神経化学的要因

神経伝達物質ドパミンがADHDの発症に関係していると考えられています。また、注意や衝動性を制御する脳の前頭前皮質が関与している可能性も示唆されています。

 

神経生理学的要因

ADHDのある子どもや青年は、前頭葉のθ(シータ)波の活動が増加していることがわかっています。また、混合型のADHDの子どもは、β(ベータ)波の活動が増加しており、それによって情緒不安定やかんしゃくを起こしやすいという説もあります。

 

神経解剖学的側面

ADHDのある子どもの脳画像を用いた研究では、前頭前皮質、前部帯状回、淡蒼球、尾状核、視床、小脳の容積が減少し、活動性が低下していることが示されています。また、PET画像による研究からは、ADHDのある青年期の女性は、そうでない人よりも糖代謝が低下していることが示されています。

 

発達的要因

未熟児で生まれた子どもや、母親が妊娠中に感染症にかかった場合は、ADHDになる頻度が高くなります。

 

心理社会的要因

深刻な虐待や不適切な養育、ネグレクトがADHDの症状と関連しています。

 

●治療

薬物療法

中枢神経系の精神刺激薬が第一選択となり、おおむね大きな効果を得られます。日本では、「コンサータ」(メチルフェニデート)がよく使われます。ただし、心疾患のリスクが高い、あるいはその合併がある患者さんには精神刺激薬を使用できません。

精神刺激薬以外の治療薬もあります。その一つが「ストラテラ」(アトモキセチン塩酸塩)です。衝動性だけでなく、不注意に対しても有効だと言われています。

なお、「SSRI」(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)がADHDに効くというデータはほとんどありませんが、ADHDに抑うつ気分や不安が併存している場合には、使用されることがあります。三環系抗うつ薬は、不整脈を誘発する可能性があるため、ADHDには推奨されません。

 

心理社会的介入

ADHDのある子どもへの心理社会的介入として、心理教育や勉強の段取りの指導、学校や家での行動変容、認知行動療法などを行うことがあります。集団行動が苦手なADHDの子どもには、社会技能を磨いて自尊感情と達成感を高める「グループ療法」が非常に有効だと考えられています。

また、親に対する行動療法トレーニングもあります。ADHDのある子どもとの関わり方を学ぶほか、子どもに期待することを具体的に決め、その期待に応えられたときにご褒美を与える仕組みを作る、といった内容です。ADHDのある子どもは、無理のない目標に向けて自分の行動をコントロールする能力を持っていることを親が認識し、適切なサポートをすることが大切です。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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