No.1101〜1110
No. | タイトル | No. | タイトル |
No.1109 | 夫とのコミュニケーションがとれない | No.1110 | うつ病などが原因でEDに |
No.1107 | 極度な潔癖症の娘が心配 | No.1108 | 糖尿病と診断され元気がない夫 |
No.1105 | 別の人格になってしまうのは? | No.1106 | 日暮れはだるくてやる気が出ない |
No.1103 | 自分が自分でなくなる"多重人格" | No.1104 | スピリチュアルにハマる妻 |
No.1101 | 嫉妬深い妻に困惑 | No.1102 | 息子がてんかんではと心配 |
1110 うつ病などが原因でEDに
心理的な要因などで起こる性機能障害「ED」についてお話ししましょう。
EDの原因は、身体的な原因のほかに、ストレスなどの心理的な要因も少なくありません。うつ病や双極性障害などの精神疾患でも、性機能が低下したり、性的な関心がなくなったりする場合があります。また、うつ病などの治療で用いられる薬剤でもおよそ半数程度に性機能障害が起きます。
治療法は、心因性EDでは、本人や場合のよってはパートナーと一緒にカウンセリングなどを行います。薬剤性であれば、減薬や薬の変更を行います。疾患そのものが原因の場合は、疾患の治療で軽快することが多いです。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/12/27
1109 夫とのコミュニケーションがとれない
「夫とのコミュニケーションがうまくとれません。発達障害などが原因ではと疑っています。」38歳・女性からの相談です。
ご相談者はご主人(38歳)と結婚して7年目。娘(6歳)にも恵まれましたが「結婚以来、夫と心が通わないことに悩んできた」とおっしゃいます。
システムエンジニアのご主人は人間関係がうまくいかないために転職を繰り返していますが、これまで会社を辞める前に、一度も相談がなかったそうです。またゲーム好きで始めると子どもが泣いていても無関心。毎月高額のソフトを何本も買ってくるため、「家計が苦しい」と言っても改善されず「不満が爆発しそう」と言います。
最近「アスペルガー障害」という発達障害の一種のことを知る機会があり、特定の分野には強い関心を示すものの、コミュニケーションが苦手という特徴が合致するため、「夫もそうなのでは」と疑っています。
確かにご主人にはゲームへの依存が見られるようです。しかし転職については、IT業界ではより良い条件を求めることはよくあることですから、こうした事実だけで障害の有無を判断することはできません。
まずはご主人とどういった点が不満か、一つ一つ話し合うことが大切です。それでも状況が改善されず、やはり障害などが疑われる時は、奥様だけでも専門家に相談してみて下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/12/20
1108 糖尿病と診断され元気がない夫
「夫が糖尿病と診断され、治療を始めましたが、落ち込んだ様子が続いていて心配です。」42歳・女性からの相談です。
ご相談者のご主人(45歳)は、会社の定期健診で「所見が必要」と言われ病院に行ったところ、糖尿病と診断されました。それ以来、通院と食事療法を続けていますが、好きなジャズを聴くこともなくなり、家でぼーっとしていることが多くなったそうです。ご相談者は「糖尿病の人はうつ病など心の病気にもなりやすいと聞いたので心配。家族としてどのように励ましたらいいか知りたい」とおっしゃいます。
糖尿病の治療を始めると食事療法が必要となり、これまでのように好きなものを食べることができなくなります。そのため、多くの人が人生の楽しみを奪われたように感じます。また糖尿病には多くの合併症があり、そうした情報を聞くことで不安な気持ちも強くなってしまいます。
本人がこうした状況を受け入れるのには、一定の時間がかかります。周囲が無責任に励ましたり元気づけたりしようとすると、「頑張れない自分」を責めてしまい、かえって症状が重くなることがあります。まずは普段通りに接し、前向きに治療に取り組めるようになるのを待ちましょう。
時間が経っても落ち込んだ様子が続くようなら、診療内科などで専門家にご相談下さい。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/12/13
1107 極度な潔癖症の娘が心配
「高校2年生の娘が極度の『潔癖症』になってきていて心配です。」47歳・女性からの相談です。
ご相談者のお嬢さん(17歳)は、子どもの頃からきれい好きでしたが、最近それが「度を越すようになっている」そうです。家に帰ってくるとまず5分以上かけてしっかりと手を洗い、使ったカバンや服にはアルコールスプレーをかけ、トイレも洗浄シートで吹かなければ使えないそうです。
ネットで調べたところ、「強迫性障害が原因で潔癖症になることがある」と出てきたため「本当に病気なのか知りたい。治療をするとしたらどのような方法がで、期間はどれぐらいかかるのか」とご相談者はおっしゃいます。
高校2年生というと様々な心の病気が出やすい時期です。お話しを聞く限りお嬢さんには強迫性障害の典型的な症状が認められ、その可能性は極めて高いと思います。ただここで気をつけたいのは、強迫症状があるからと言って必ずしも強迫性障害だとは言い切れないということです。
背景に他の心の病気がないケースもありますし、病気が原因でも統合失調症や境界性パーソナリティ障害、発達障害などでも同様の症状を生ずる場合があります。合併症の有無やその種類によって治療のアプローチは全く異なります。早合点せずにまずは専門家に相談し、アドバイスを受けて欲しいと思います。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/12/06
1106 日暮れはだるくてやる気が出ない
秋から冬にかけて日暮れが早くなるにつれて、感傷的になる方の多い時期ですが、夕方になるとだるくてたまらない、やる気が起きない状態が続くのなら少し心配です。
神経症性障害といって、つらければ受診をお勧めしますが、まずはゆっくり休みましょう。働く女性、特に若い方は、休日も買い物やデートなど休む暇がありません。1週間仕事をした後も外出が続いては、疲労が知らず知らずのうちに積み重なり、イライラや悲しい気持ちが起きてきます。いつもの1.5倍やすみましょう。6時間寝ていたら8時間寝るつもりで。休日は一日中パジャマで過ごす彼氏ナシ<干物女>生活で良いのです。
それでも改善しなければ、秋冬になると発症する季節性の鬱病も考えられますから、こじらせないうちに受診しましょう。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/12/05
1105 別の人格になってしまうのは?
“二重人格”で知られていることも多い「解離性同一性障害」についての2回目です。
自分が自分である感覚が失われる原因は、乗り越え難い葛藤や心の悩み、強い怒りなどを自分の中で受け止められない状況があり、別の人間になることで回避しようとすることが原因の一つとして考えられます。
治療法はというと、人格を統合する必要があるため、精神分析的なカウンセリングなどの精神療法を中心に行います。また、境界性パーソナリティ障害や非定型うつ病をはじめとした合併症が多いため、それぞれに対応した薬物療法なども行う場合があります。 まずはご相談を。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/11/29
1104 スピリチュアルにハマる妻
「妻はもともとスピリチュアルなテレビ番組などが好きでしたが、最近エスカレートしているようで心配です。」47歳・男性からの相談です。
ご相談者は奥様(45歳)、お嬢さん(15歳)と3人暮らし。奥様は守護霊や前世などの内容を扱った番組が大好きでしたが、最近は「良く当たる」と評判の占い師や霊能力者がいると遠くまで出かけていったり、愛好者のサークルに入ったりしているそうです。「この配置では運気が悪い」と言って部屋の模様替えをするなど、様々な出来事を霊的なもののせいにすることにご相談者は違和感があり、「なんとかやめさせたいし、何か心の問題を抱えているのでは」とおっしゃいます。
さて、占いや風水を文化的な側面から捉えると、人生における普遍的な事柄を述べて本質に気付かせてくれるという一種のカウンセリング機能があり、一方的に非合理的なものだと決めつけることはできません。
奥様も親子関係や夫婦関係に自信が持てず、その不安や孤立感を占いやサークルの仲間とのつながりが和らげてくれているのかもしれません。無理やりやめさせようとするとかえって溝が生まれる可能性があります。まずは奥様がどんな心配事を抱えているのか、じっくり聞いてあげて下さい。夫婦間の適切なコミュニケーションがあれば、これ以上のめりこむことはないと思います。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/11/29
1103 自分が自分でなくなる"多重人格"
自分が自分であるという感覚が失われてしまう解離性同一性障害について2回にわたりお話ししましょう。
解離性同一性障害の症状では、一部の記憶がすっぽり抜け落ちる解離性健忘、いつの間にか知らない場所にいる遁走(そんそう)、離人症状、身体表現性障害などさまざまな症状があらわれます。小説や映画の中で紹介された“ジキル博士とハイド氏”のように、誠実な人格と狂暴な人格が同じ人物に存在し、知っている名前や言葉、態度まで別人のようになる二重人格が有名ですが、交代性人格は5〜11人程度が平均的といわれています。ある人格が現れているときには、別の人格のときの記憶がないことが多く、日常生活にも支障がでてきます。
解離性健忘とは、心の傷やストレスを受けた記憶が思い出せなくなります。解離性健忘の人が、突然、遠く離れた知らない場所にいたりする遁走などもあります。
身体表現性障害とは、身体的な疾患や異常がないにもかかわらず、頭痛や目まい、動悸、しびれなどの身体症状が続きます。 次回は原因や治療法などについてお話しします。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/11/22
1102 息子がてんかんではと心配
「3歳の息子が、これまでに何度かけいれんを起こしています。先日友人から『てんかんかもしれない』と言われ、心配しています。」30歳・女性からの相談です。
息子さんが「てんかんでは」という友人の指摘に大きなショックを受けた、というご相談者。「もしてんかんだったら、他の子と遊んだり、普通に学校に行ったりしても大丈夫なのか。またどのようなことに気をつければよいのか知りたい」とおっしゃいます。
まずはけいれんの頻度や熱を伴っているかどうかが問題です。熱を伴っているもので、回数が2〜3回であれば、「熱性けいれん」で心配はいりません。しかし熱もなく回数も4回以上ならば、てんかんの可能性があります。
てんかんには知能や身体機能の低下を伴うものもありますが、抗てんかん薬もあり、現在はコントロールが可能なものが少なくありません。大半の人は普通に学校にも通っており、過剰に心配する必要はないと思います。
注意点としては抗てんかん薬をしっかりと飲むこと、日常生活を規則正しく送ること、また光によって反応が出る場合はテレビの視聴に気を付けるなど、症状により異なります。小児科や神経科を受診し、脳波などの検査を受けた上で、専門家からアドバイスを受けて欲しいと思います。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/11/22
1101 嫉妬深い妻に困惑
「妻のやきもちがひどく、困っています。どうすれば嫉妬心を緩和させられるでしょうか」27歳・男性からの相談です。
今春結婚し、現在は二人暮らしというご相談者。奥様は同僚との飲み会でも異性がいると分かると、途端に不機嫌になり「どんな人が来るの」などと執拗に聞いてくるそうです。 そのため飲み会の合間にもメールをして帰宅時間を知らせていますが、その時間から少しでも遅れて帰ると怒るため「自分はそんなに信用されていないのかと気分が悪くなる」と同時に「ここまで嫉妬心が強いのは何か心の問題なのでは」とおっしゃいます。
「異性を信用できない」という人は少なからずいて、性格的な傾向はもちろん、これまでの交際で心に傷を負う経験をしたことなど様々な原因が考えられます。しかし異性関係だけでなく生活の様々な場面で「だれかに陥れられるのでは」と考えている場合は、妄想性パーソナリティ障害という病気の可能性があります。また統合失調症、うつ病、双極性障害、アルコール依存症などでも猜疑心や被害妄想が強くなります。
まずは疲れや気分の落ち込みを訴えていないか、まとまりのない言動がないか、アルコールの匂いはしないか、など奥様の普段の行動を確認して下さい。思い当たる点があれば、ご主人だけでも専門家に相談すると良いと思います。
ハートクリニック院長 浅井逸郎 14/11/15