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こころの病気のはなし > 専門編 > 運動能力障害:発達性協調運動障害

運動能力障害:発達性協調運動障害

運動能力障害は、協調運動が必要な日常動作の拙劣さが特徴です。座る、這う、歩くなどの運動発達指標への到達の遅れからわかることもあります。粗大および微細運動が不器用なため、このことから見つかることもあります。

 

診断

幼児期にすでに明らかになることがあります。成育史を聴取して早期の運動発達指標への到達の遅れがあることから診断されます。この診断では、標準化知能テストの動作性検査の得点が平均以下で、言語性検査の得点が平均もしくは平均以上となることがあります。

 

疫学

  1. 学齢期の小児の有病率はおよそ5%です。
  2. 男女比は2対1ないし4対1。ただし、資料に偏りがありえます。

 

原因

  1. 不明ですが、おそらく多数の要因が関与しています。
  2. 未熟児、低酸素、周産期低栄養、出生時低体重がリスク因子でありえます。
  3. 多動性障害、および学習障害の小児に多くみられます。

 

鑑別診断

  1. 神経・筋障害
    より広範な筋と神経の障害を示す。
  2. 注意欠陥/多動性障害
    ADHDにみられる物理的な不注意を除外すること。
  3. 精神遅滞
    ふつう、他の機能の障害と比べて協調運動の障害だけが有意な欠陥として突出することはない。

 

経過と予後

転帰に関するデータはありません。不器用さが残ることもありますが、他の技能への興味を発達させてそれを補う小児もいます。不器用さは、ふつう、思春期および成人期まで持続します。

 

治療

通常、何らかの感覚統合プログラムと、修正された体育授業が使われます。

感覚統合プログラムには、運動機能と感覚機能への認識を高めるような身体活動が含まれます。

適応体育教育プログラムには、ボールを蹴る、投げるなどのスポーツの動きが取り入れられています。社会機能訓練グループや、その他の社会適応的介入(prosocial intervention)が役に立つこともあります。学業面と情緒面の二次障害、および併存するコミュニケーション障害は、個人療法の対象として考慮すべきです。両親へのカウンセリング(相談)は、両親の不安と罪責感を減らし、洞察を深め、自信を高めるうえで役に立つことがあります。

 

診断基準

DSM-W-TR
発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder)
コード番号 315.4
  1. 運動の協調が必要な日常の活動における行為が、その人の生活年齢や測定された知能に応じて期待されるものより十分に下手である。これは運動発達の里程標の著明な遅れ(例:歩くこと、這うこと、座ること)、物を落とすこと、“不器用”、スポーツが下手、書字が下手、などで明らかになるかもしれない。
  2. 基準Aの障害が学業成績や日常の活動を著明に妨害している。
  3. この障害は一般身体疾患(例:脳性麻痺、片麻痺、筋ジストロフィー)によるものではなく、広汎性発達障害の基準を満たすものでもない。
  4. 精神遅滞が存在する場合、運動の困難は通常それに伴うものより過剰である。

◆コード番号をつけるうえでの注意

一般身体疾患(例:神経疾患)あるいは感覚器の欠陥が存在するならば、その疾患をV軸にコード番号をつけて記録しておくこと。

 

ICD-10
F82 運動機能の特異的発達障害
(Specific developmental disorder of motor function)

この障害の主要徴候は全体的知能の遅れや、(協調の異常に含まれるようなもの以外の)先天的あるいは後天的神経障害によっては説明できない、協調運動の発達の重篤な機能障害である。運動の不器用さは、ふつう視空間−認知課題での遂行の障害とある程度関係する。

【診断ガイドライン】

小児の協調運動は、微細あるいは粗大な運動課題において、年齢や全体的知能によって予想される水準より明らかに下まわっていなければならない。最も好ましいのは、個別的に実施される微細および粗大な協調運動の標準検査によって評価することである。協調困難は発達早期より存在しており(すなわち後天的な欠陥ではない)、視覚や聴覚の欠陥の直接的な結果、あるいは診断可能な神経障害に起因するものであってはならない。

障害が、主として含む微細あるいは粗大な協調運動の範囲はさまざまであり、運動障害の個々のパターンは年齢によって異なる。運動機能の発達の段階は標準より遅れ、関連した(とくに構音での)言語障害の合併がみられることがある。幼児は歩き方全体がぎこちなく、走る、跳ぶ、階段の昇降を覚えるのが遅い。靴ひもを結ぶこと、ボタンの掛けはずし、キャッチボールの習得に困難を来しやすい。一般に小児は微細および/または粗大運動が不器用で、物を落としたり、つまずいたり、障害物にぶつかったり、書字が下手な傾向がある。描画力は通常不良で、この障害をもった小児はしばしば、ジグソーパズル、構成的玩具の使用、模型の組立て、ボール遊び、地図を描いたり読んだりすることが下手である。

多くの症例で注意深く臨床所見をとれば、微細および粗大な協調運動が拙劣である徴候(正常の幼児にも認められ、局在診断上の価値を欠くことから、一般的に「ソフトな」神経学的徴候として記述されるもの)に加え、四肢を支えないときの舞踏様の運動あるいは鏡像運動、そして他の随伴する運動徴候などの顕著な神経発達上の未成熟が認められる。腱反射は、両側性に亢進していることも減弱していることもあるが、左右差はない。  学業困難は一部の小児に生じ、時に重篤なことがある。一部の症例では社会的情緒的行動上の問題が認められるが、その頻度や特徴についてはほとんど知られていない。

(脳性麻痺や筋ジストロフィーのような)診断可能な神経学的障害は存在しない。一部の症例では、しかしながら、生下時超低体重あるいは顕著な早産の既往のような周産期の合併症がみられる。  不器用な子ども症候群はしばしば「微細脳機能障害」と診断されてきた。しかし、この用語は非常に多くの異なったかつ矛盾する意味をもつので勧められない。

<含>不器用な子ども症候群

 発達性協調運動障害 発達性先行

<除>歩行および運動の異常(R26.-)

 精神遅滞(F70-F79)あるいは診断可能な特定の神経障害(G00-G99)から二次的に
生じる協調運動欠如(R27.-)

F83 混合性特異的発達障害 (Mixed specific developmental disorders)

これは定義が不完全で、適切に概念化されていないが、(しかし必要な)障害の残遺的カテゴリーであり、会話と言語、学力、および/または運動機能の特異的発達障害が混合したものであるが、いずれも主要な診断を構成するほど十分に優勢ではない。これらの特異的発達障害のいずれもが、全般的認知機能障害を伴うのがふつうであり、この混合カテゴリーは大幅な重複があるときのみ用いるべきである。それゆえ、このカテゴリーはF80.-, F81.-, およびF82のうち2つ以上の診断基準を満たす機能異常がある場合に用いるべきである。

【参考・引用文献】

・DSM-W-TR精神疾患の分類と診断の手引 新訂版 高橋三郎他訳 2010 医学書院

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

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