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自閉障害

対人的相互作用とコミュニケーション技能における質的障害をいいます。

カナー(1943)によって早期幼児自閉症(Infantile autism)として初めて概念化された障害で、DSM-IV-TRでは広汎性発達障害(pervasive developmental disorder)の1つに分類されます。

1万人に4〜5人が自閉症であるとされます。

 

特 徴

自閉症には、下記の3つの臨床的特徴がみられます。

  1. 対人的相互反応の障害 目と目で見つめあうことをせず、顔の表情や身振りでの対人相互反応を使用することが困難な状態にあります。仲間をつくることに失敗し、楽しみや興味を共有することなど情緒的相互作用を求めることができません。
  2. コミュニケーションの障害 話し言葉や身振りなどによる意思伝達の遅れや欠如、言葉を社会的な意思伝達に用いない、たとえば他人の言った単語や語句を反復する(反響言語という)といった状態にあります。
  3. 行動の異常(制限された活動と興味の範囲の著しい制限) 現具や物の使用において常同的で限定された部分にのみ興味を示したりします。特定の習慣や儀式に強度にこだわること、衒奇的な運動(たとえば、手や指をパタパタさせるなど)が認められることもあります。

 

原 因

双生児研究などにより、自閉症障害に遺伝要因が強く働いていることが確認されています。

また脳の機能異常が自閉症の病因の基盤となると考えられています。

 

経過と予後

1歳半までに臨床特徴を見出せることがありますが、18ヶ月以降に言葉の遅れを主訴に相談機関を訪れる事例が多いです。

自閉症障害は一般に生涯にわたる障害であり、予後は容易ではありません、3分の2は重度の障害を負ったまま、他者に依存した生活を送ることになります。

ただし、IQが70を上回り、コミュニケーション技能が5〜7歳までにみられるならば、予後は改善されます。

 

治 療

社会性、認知的能力、コミュニケーションの基本的能力を育てるために、精神科医、臨床心理士、言語療法士などによる、より早期な教育的なアプローチが必要とされています。

攻撃的行動または自傷行動に対する対症療法として抗精神病薬の投与による薬物療法が必要な場合もあります。

 

診断基準

DSM-W-TR ICD-10
コード番号299.00 コード番号F84.0
  1. 1.,2.,3.から合計6つ(またはそれ以上)、うち少なくとも1.から2つ、2.と3.から1つずつの項目を含む。
  1. 対人的相互作用における質的な障害で以下の少なくとも2つによって明らかになる。
  1. 目と目で見つめ合う、顔の表情、体の姿勢、身振りなど、対人的相互反応を調節する多彩な非言語的行動の使用の顕著な障害。
  2. 発達の水準に相応した仲間関係を作ることの失敗。
  3. 楽しみ、興味、達成感を他人と分かち合うことを自発的に求めることへの欠如(例:興味のある物を見せる、持って来る、指差すことの欠如)。
  4. 対人的または情緒的相互性の欠如。
  1. 以下のうち少なくとも1つによって示されるコミュニケーションの質的な障害。
  1. 話し言葉の発達の遅れまたは完全な欠如(身振りや物まねのような代わりのコミュニケーションの仕方により補おうという努力を伴わない)。
  2. 十分会話のある者では、他人と会話を開始し継続する能力の著名な障害。
  3. 常同的で反復的な言語の使用または独特な言語。
  4. 発達水準に相応した、変化に富んだ自発的なごっこ遊びや社会性をもった物まね遊びの欠如。
  1. 行動、興味、および活動の限定された反復的で常同的 な様式で、以下の少なくとも1つによって明らかになる。
  1. 強度または対象において異常なほど、常同的で限定された型の1つまたはいくつかの興味だけに熱中すること。
  2. 特定の機能的でない習慣や儀式にかたくなにこだわるのが明らかである。
  3. 常同的で反復的な衒奇的な運動(例:手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げたりする、または複雑な全身の動き)
  4. 物体の一部に持続的に熱中する。
  1. 3歳以前に始まる、以下の領域の少なくとも1つにおける機能の遅れまたは異常:
  1. 対人的相互反応
  2. 対人的コミュニケーションに用いられる言語、または
  3. 象徴的または想像的遊び。

 

  1. 障害はレット障害または小児期崩壊性障害ではうまく説明されない。

(含)自閉性障害、幼児自閉症(infantile autism)、小児自閉症、カナー症候群

[発症年齢]

通常、先行する明確な正常発達の時期は存在しないが、もし存在しても、それは3歳以下までである。相互的な社会関係の質的な障害が常に存在する。

[診断特徴]

  1. 相互的な社会的関係
    他者の情緒表出に対する反応の欠如、および(または)社会的文脈に応じた行動の調節の欠如によって示されるような、社会的−情緒的な手がかりの察知の不適切さ、社会的信号の使用の拙劣さと、社会的、情緒的、およびコミュニケーション行動の統合の弱さ、そしてとくに社会的−情緒的な相互性の欠如という形をとる。
  2. コミュニケーション
    どのような言語力があっても、それの社会的使用の欠如、ごっこ遊びや社会的模範遊びの障害、言葉のやりとりの際の同調性の乏しさや相互性の欠如、言語表現の際の不十分な柔軟性や思考過程において創造性や想像力にかなり欠けること、他人からの言語的および非言語的な働きかけに対する情緒的な反応の欠如、コミュニケーションの調節を反映する声の抑揚や強調の変化の使用の障害、および話し言葉でのコミュニケーションに際して、強調したり意味を補うための身振りの同様な欠如、という形をとる。
  3. 限局した常同的な反復行動
    狭小で反復性の常同的な行動、感心、活動。これらは日常機能の広い範囲にわたって、柔軟性のない型どおりなことを押し付ける傾向を示す。通常、これは、馴染んだ習慣や遊びのパターンにとどまらず、新しい活動にも当てはまる。 とくに幼児期には、ふつうでない物体、典型的な場合は柔らかくない物体に対する特別な執着がみられることがある。 小児は、無意味な儀式によって、特殊な決まりきったやりかたに固執することがある。これらは日時、道順あるいは、時刻表などへの関心に関連した、常同的な没頭であることがあり、しばしば常同運動がみられる。物の本質的出ない要素(たとえばそのにおいや感触)に特別な関心をもつこともよくある。個人の環境において、いつも決まっていることやその細部の変更(たとえば、家庭において飾りや家具を動かすことなど)に抵抗することがある。
  4. 非特異的な問題
    以上の3つの特異的な診断特徴に加えて、自閉症の小児が、恐れ/恐怖症、睡眠と摂食の障害、かんしゃく発作や攻撃性など一連の非特異的な問題を呈することがしばしばある。自傷行為(たとえば、手首を噛む)はかなり一般的であり、とくに重度の精神遅滞が合併している場合にそうである。 自閉症をもった多くの人が、余暇を過ごす際、自発性、積極性、創造性を欠き、(課題自体は十分能力の範囲内のものでも)作業時に概念を操作して作業をすることが困難。 自閉症に特徴的な欠陥の特異的な徴候は成長するにしたがい変化するが、これらの欠陥は、社会性、コミュニケーション、興味の問題というパターンがほぼ同様のままで成人に達しても持続する。診断がなされるためには、発達の異常は生後3年以内に存在していなければならないが、この症候群はすべての年齢で診断しうる。 自閉症にはすべての水準のIQが随伴するが、約4分の3の症例では、著しい精神遅滞が認められる。

 

小児期発症の統合失調症との区別

自閉性障害は、38ヶ月以前に発症しますが、小児期発症の統合失調症は、5歳未満には発症しません。また、自閉性障害はふつうは常に障害された状態にありますが、小児期の統合失調症では機能が低下するのみです。 詳しくは下記の表を参照してください。

基準

自閉性障害

統合失調症
(思春期以前の発症)

発症年齢

38ヶ月以前

5歳未満には発症しない

発生率

1万人あたり2〜5人

不明。たぶん同等か、それ以下。

性比(男:女)

3〜4:1

1.67:1(男女同等か男子がわずかに多い)

統合失調症の家族歴

リスクの上昇はないか、おそらくない

リスクが上昇する

社会経済的地位

高い群で顕著(アーチファクト)

低い群でより多い

出生前および周産期の
合併症と脳性機能障害

統合失調症の場合より多い

自閉性障害の場合より少ない

行動学的特徴

関係性を発達させることができない、緘黙あるいは反響言語、言葉の理解が不能か乏しい、同じであることにこだわり常同症を呈する

幻覚と妄想、思考障害

適応機能

ふつうは常に障害される

機能が低下する

知能レベル

多くの症例で正常以下、しばしば重度に障害されている(70%が70以下)

通常は正常範囲、多くは正常低位(70以下は15%)

IQのパターン

分野ごとの指数のばらつきが著明

指数のばらつきはより少ない

大発作

4〜32%

みられないか発生率はより低い

 

 

非定型自閉症(Atypical autism) との区別

含)非定型小児精神病

自閉的傾向を伴う精神遅滞

[発症年齢]の点か、あるいは[診断特徴]の3つの組合せすべてを満たさない点で、自閉症とは異なった広汎性発達障害です。

すなわち、発達の異常および/または障害が3歳を過ぎてからはじめて現れるか、 および(または)、自閉症の診断に要求される精神病理の領域のすべて( (1)相互的な社会的関係、(2)コミュニケーション、(3)限局した常同的な反復行動)のうち、1つないし2つの領域において十分に明白な異常を欠いているものの、残りの領域では特徴的な異常がみられます。

非定型的自閉症はきわめてしばしば重度の精神遅滞のある小児で認められますが、これは機能水準が非常に低いため、自閉症の診断に要求される特異的な偏った行動を示す余地がほとんどないためです。また、言語受容の重篤な特異的発達障害をもつ小児に出現します。

 

【参考・引用文献】

・DSM-W-TR精神疾患の分類と診断の手引 新訂版 高橋三郎他訳 2010 医学書院

・カプラン精神医学ハンドブック 融道男他訳 2010 メディカルサイエンスインターナショナル

・ICD-10精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン 融道男他監訳 2009 医学書院

・知っておきたい精神医学の基礎知識 サイコロジストとコ・メディカルのために
上島国敏・上別府圭子・平島奈津子編 2010 誠信書房

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