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フェティシズム

F65.0 フェティシズム Fetishism

フェティシズム障害 Fetishism Disorder

疾患の具体例

35歳、男性。中学生くらいの頃から女性の上履きに性的興奮を覚えるようになりました。中学、高校では放課後に残って同級生の上履きを盗み、自慰行為に使っていました。恋人ができても、通常の性行為より上履きを用いた自慰行為のほうを優先するため、恋愛関係を持続できないことに悩んでいました。精神科を受診し「フェティシズム障害」と診断されていました。 それでも、上履きを性欲の対象とする嗜好は変わりません。学生の頃とは違い、成人して上履きを入手することが難しくなってからは、深夜の中学校に忍び込んで上履きを盗んでいました。ある時、学校に侵入していたところを警察に見つかって逮捕。自宅を捜索された結果、それまで大量にコレクションしていた上履きが見つかり、事件として報道されました。

 

特徴

通常は性欲を喚起し得ないものに対し、強烈な性的興奮を覚えることを「パラフィリア」(性嗜好異常)と言います。パラフィリアにはいくつもの種類がありますが、そのうちの1つが「フェティシズム」(フェティシズム障害)です。生命のない物体や、生殖器以外の人体の一部に異常なほどの性的関心を持ち、なおかつ関心が持続・反復する状態が、少なくとも6カ月以上続いていることを指します。

性的興奮の対象となるものは、女性の下着、男性や女性の履物といった身体の延長物のこともあれば、髪の毛や脚、足の指といった人体の特定の部位、あるいはゴム製の物品、革製の衣類など特定の質感を持つものなど、実にさまざまです。汚れた靴下と足など、生命のない対象物と身体部位の組み合わせを好む人もいます。

フェティシズム障害の人は、自慰行為をする際に対象物を抱いたり、味わったり、こすったり、挿入したり、嗅いだりします(例:靴を対象物とする人は、靴の中に自慰行為をする)。また、性交渉の際、相手にフェティシズムの対象物を身につけさせたり、道具として用いたりすることを求めることもあります(例:ハイヒールを履いて性交渉を行う)。

フェティシズム障害の人は、自身の障害によって苦痛や困難を感じています。例えば、恋愛関係にある相手がいても、性行為の際に好みの対象物を用いることができないために、性的興奮が得られず、最後まで性交できないことがあります。そのため、お互いに大切な存在だと思っていても、性的な行為に関しては自分だけの世界に没頭する人もいます。結果、恋愛関係が維持できなくなるなどの問題が生じ得ます。

また、フェティシズム障害の人は対象物を大量にコレクションすることがあります。合法的な手段だけでなく、窃盗や強盗、不法侵入などの違法行為を犯してまで対象物を集めてしまい、逮捕される人もいます。

 

原 因

フロイトによれば、フェティシズム障害は無意識下の「去勢不安」の表れで、男根の象徴としての役割を持つと考えられています。去勢不安とは、幼少期の性的な行動を親や周囲にとがめられたことに対する心理的反応で、「自分は男性器(あるいは男性機能)を奪い取られるのではないか」などといった不安を持つことです。

 

有病率

具体的な有病率は不明ですが、逮捕されたパラフィリアのうちフェティシズム障害は比較的まれだと言われています。また、フェティシズム障害はほとんど男性にのみ見られます。

 

経 過

パラフィリア全般でいえば、通常、思春期に発症しますが、フェティシズム障害はもっと早く始まります。多くの場合、フェティシズム障害は幼少期に確立し、実際に発症するのは思春期の頃だと考えられています。ひとたびフェティシズム障害が形成されると、衝動や行動の強度・頻度が変動しながらも、長く継続的な経過をたどる傾向があります。

 

診断基準:ICD-10

フェティシズムは、その対象が性的刺激の最も重要な源泉であるか、あるいは満足のいく性的反応に欠かせない場合のみ、診断すべきである。

フェティシズム的幻想はふつうであるが、それは、儀式的なものとなって、あまり強制的で受け入れがたいため性交渉を妨げ、個人的な悩みを引き起こすものでない限り、障害となるまでにはいたらない。

フェティシズムはほとんど専ら男性に限られる。

 

診断基準:DSM-5

A. 少なくとも6カ月間にわたり、生命のない対象物の使用、または生殖器以外の身体部位への著しい特異な関心から得られる反復性の強烈な性的興奮が、空想、衝動、または行動に現れる。

B. その空想や性的衝動、または行動が、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C. フェティシズムの対象物は、異性装に用いられる衣料品(異性装障害におけるように)、または性器の接触刺激目的で特別に作られた器具(例:バイブレーター)に限られるものではない。

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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