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こころの病気のはなし > 専門編 > 性器反応不全/性器-骨盤痛・挿入障害

性器反応不全/性器-骨盤痛・挿入障害

F52.2 性器反応不全 Failure of genital response

性器-骨盤痛・挿入障害 Genito-Pelvic Pain/Penetration Disorder

疾患の具体例

35歳女性、1年前に子どもを出産して以来、夫とのコミュニケーションが希薄になりました。性生活にも苦痛を感じています。性交時に挿入しようと思っても鋭い痛みを感じて受け入れることができず、途中で中断することが何度もありました。無理に性交を続けると、終わったあともしばらく痛みます。最近では、夫との性交そのものに恐怖感や不安を覚え、つい拒絶してしまいます。そのため、夫婦関係が険悪になりつつあります。本当は、婦人科検診も受けなくてはならないのに、膣に器具を挿入されることが怖くて受診していません。医師に相談すると「性器-骨盤痛・挿入障害」と診断されました。

 

特徴

女性の性器反応不全は、性器-骨盤痛・挿入障害とも言います。少なくとも6カ月以上にわたって、膣性交時に男性器を挿入できなかったり、著しい痛みを感じたりします。また、そうした現象に対する不安、恐怖感を抱いたりする障害です。

まず、挿入の困難については、性交時においてのみ困難を伴うケースが一般的ですが、婦人科の検査、タンポンの挿入にも困難が伴う人もいます。

性交時の痛みは、「燃えるような」「切られるような」「撃たれるような」「ズキズキと」などと表現されることがよくあります。痛みの強さは様々で、また、痛む位置も人によって異なります。典型的には挿入と同時に感じる膣の痛みですが、深部性(骨盤、すなわち深く挿入するまで感じられない痛み)のこともあります。痛みは性交の最中だけでなく、終わったあと(特に排尿時)にも起こることがあります。性交時の痛みを婦人科の検査中に再体験する人もよく見られます。

こうした困難や痛みを経験した女性は、膣性交の予定がある時や、最中に著しい恐怖や不安を感じます。自分では意図しないのに、膣挿入時に骨盤底筋(女性器の筋肉)が緊張したり、締め付けたりといった反応が生じることもあります。 性器-骨盤痛・挿入障害は、多くの場合、対人関係や結婚生活、妊娠に何らかの問題を来します。患者さん本人も、性欲と性的関心の減少を感じ、「症状が女性らしさの感情を低下させる」と感じることが多いようです。

ただ、性的な状況になっても、痛みを伴わない場合や、挿入が必要ない場合には性欲と性的関心が損なわれないことがあります。

 

原 因

主な原因は膣の乾燥、あるいは潤滑不全です。そうなる要因は心因性(パートナーとのコミュニケーション不足、ストレスなど)のこともあれば、感染症など他の疾患のこともあります。あるいは閉経などによるエストロゲンの欠如が原因のこともあります。カップルによっては、前戯や興奮が不十分な性行為、男性パートナーの勃起障害や早漏も、挿入障害の原因となり得ます。

他に、以下が原因として考えられています。

環境要因:幼い頃に性的および身体的虐待を受けた経験が関係しているという見方があります。ただし、近年ではその妥当性が議論されています。

遺伝要因と生理学的要因:性的接触を試みる前にタンポンを挿入し、痛みや困難を経験することは重要な危険因子です。

 

有病率

有病率は不明ですが、北米の女性の約15%が反復性の性交時疼痛を報告しています。訴えが最も多い年代は、成人期早期と更年期・閉経期です。性交困難は、主に閉経前の女性に診られます。また、出産後の女性に性器-骨盤痛に関連した症状の訴えが増えることがあります。

 

治 療

硬化性萎縮性苔癬、子宮内膜症、骨盤内感染症、萎縮性膣炎など、他の医学的疾患の治療をすると、性器-骨盤痛・挿入障害が緩和されることもあります。しかし、ほとんどの場合そのようなことはありません。

 

診断基準:ICD-10

記載なし

 

診断基準:DSM-5

A.以下のうち1つ(またはそれ以上)の持続性または再発性の困難

  1. 性交の際の膣挿入
  2. 膣性交または挿入を試みる際の外陰膣または骨盤の著しい疼痛
  3. 膣挿入の予期、最中、またはその結果起こる外陰膣または骨盤の疼痛に対する著しい恐怖や不安
  4. 膣挿入の際の骨盤底筋の著しい緊張または締め付け

B.基準Aの症状は、少なくとも約6カ月間は持続している。

C.基準Aの症状は、その人に臨床的に意味のある苦痛を引き起こしている。

D.その性機能不全は、性関連以外の精神疾患、または重篤な対人関係上の苦痛(例:パートナーからの暴力)、または他の意味のあるストレス因の影響でうまく説明されないし、物質・医薬品または他の医学的疾患の作用によるものではない。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

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