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こころの病気のはなし > 一般編 > 気分変調症(持続性抑うつ障害)

心の病気の種類

気分変調症(持続性抑うつ障害)

● 症状

「気分変調症」は「持続性抑うつ障害」とも呼ばれます。主な特徴は、抑うつ気分がほぼ1日中続いて、なおかつ長期間におよぶことです。アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』では、少なくとも2年以上(小児や青年では1年以上)にかけて抑うつ気分が持続していることが、診断基準になっています。また、気分変調という用語は「不機嫌」という意味です。患者さんは罪責感、過敏性、怒り、興味の衰退、活力の減退、生産性の欠如などを頻繁に感じます。引きこもったり、状況に合わせた行動や考えができない不適応感にさいなまれたりすることもよくあります。

 

気分変調症は、しばしば他の病気の合併症として起こります。その場合、軽症かつ慢性(少なくと2年間持続)で、小児期や青年期にいつのまにか発症していることが多くみられます。また、他の精神疾患、たとえば不安症(特にパニック症)や物質乱用、境界性パーソナリティ障害と併発するケースもよくあります。他の疾患では説明できない場合に限り、気分変調症と診断されることになっています。

 

気分変調症の罹患率は一般人口の5〜6%で、それほど珍しくありません。一般の精神科クリニックでは、患者さん全体の半分〜1/3を占めるほどです。発症率に男女差はなく、未婚の若者や低所得者に多い傾向があります。慢性の身体疾患のある人、特に高齢者にもよくみられます。 患者さんの約半数は25歳より前という人生の早い段階から発症していながら、精神科の治療を求めるまで10年以上かかることがよくあります。

 

● 他の病気との関係

うつ病との違い

気分変調症の症状はうつ病と重なる部分がありますが、両者は別の疾患です。気分変調症は主観的な徴候が目立つのに対し、うつ病は客観的な症状です。具体的には、気分変調症は食欲や性欲の衰退といった特徴はありません。何かに駆り立てられているような感覚(焦燥感)や、何も考えられなくなる状態(精神運動の制止)も認められません。うつ病にはこれらがあります。気分変調症の患者さんは、「いつも気分が落ちこんでいる」と自分から訴えることも特徴です。躁病や軽躁病のエピソード(症状が一定期間続いている状態)もありません。

 

小うつ病性障害との違い

小うつ病性障害とは、軽度の抑うつエピソードのある障害です。気分変調症との違いは、症状が反復することです。小うつ病性障害は軽度の抑うつエピソードの間に平常の気分がありますが、気分変調症にそれらがありません。

 

反復性短期抑うつ障害との違い

反復性短期抑うつ障害は、抑うつエピソードの期間が2週間以内と短期間であることが特徴です。気分変調症との違いは、抑うつエピソードがあることと、症状がより重度であることです。

 

アルコールおよび他の物質乱用との関係

気分変調症の患者さんは、物質関連障害の診断基準を満たすことがよくあります。その理由は、気分変調症による慢性の抑うつ症状に対処しようとアルコールや薬物等を使用しがちだから、と考えられています。

 

二重うつ病とは?

うつ病の患者さんのおよそ40%は気分変調症の診断基準を満たします。この組み合わせは、二重うつ病と呼ばれます。うつ病単体の患者さんよりも予後が不良と言われています。うつ病の症状である抑うつエピソードがなくなったあとも、気分変調が残るからです。

 

● 原因

気分変調症は、パーソナリティ(人格)や自我発達の結果として起こるもので、青年期や成人期早期に出現することが多いと考えられています。家族に、うつ病と双極性障害のある人が多いこともわかっています。

 

● 治療

気分変調症の治療には、洞察指向的(精神分析的)精神療法がよく用いられています。しかし、最近では、薬物療法と認知療法、行動療法の組み合わせが、もっとも有効な治療法とされています。

 

認知療法

物事に対する否定的で誤った受け取り方を改め、新たな考え方や行動を教わる技法です。

 

行動療法

活動性を増やしたり、楽しい経験をさせたり、リラックス法を教わるなど、個人の行動を改め、抑うつ思考を変化させる方法です。

 

洞察指向的精神療法

抑うつ症状がどのように進展し持続してきたか。あるいは、子どもの頃から抱え込んでいる葛藤はないかなどについて、専門家が面談します。

 

薬物療法

気分変調症は長期にわたる疾患であることなどを理由に、多くの医師は抗うつ薬の使用を避けています。しかし、抗うつ薬の有効性を示した報告は多く、一般にセロトニン再取り込み阻害薬、ベンラファキシン、ブプロピオンが有効だとされています。抗うつ薬による治療中、一部の患者さんは短期間、軽度の躁状態になる傾向がありますが、抗うつ薬を減量すると消退することが多いようです。

 

入院治療

通常は入院の対象とはなりませんが、症状が重篤な場合や、自殺念慮がみられる場合などは、丁寧な診断のうえ、入院となるかもしれません。 なお、気分変調症の予後はさまざまで、診断から1年以内に寛解した患者は10〜15%にすぎません。約25%は完治にいたらないと言われています。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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