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こころの病気のはなし > 一般編 > 広場恐怖症

心の病気の種類

広場恐怖症

● 症状

広場恐怖症は、通常であれば何でもないような状況に対し、過剰な恐怖や不安を持つ「不安症群」の一つです。恐怖する対象で最も多いのは、すぐに逃げ出すのが難しい場所や状況です。具体的には、以下5つの状況のうち2つ(またはそれ以上)に対し、ほぼ常に著しい恐怖または不安があり、それが典型的には6ヵ月以上持続します。

  • 公共交通機関の利用(例:自動車、バス、列車、船、航空機)
  • 広い場所にいること(例:駐車場、市場、橋)
  • 囲まれた場所にいること(例:店、劇場、映画館)
  • 列に並ぶまたは群衆の中にいること
  • 家の外に一人でいること

 

アメリカの多くの研究者は、パニック症の患者さんの大半に広場恐怖症が併存すると考えています。しかし、パニック症を併発しないこともあるため、アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル『DSM-5』では独立した障害として分類されています。

 

広場恐怖症の患者さんが恐怖する対象として、パニック様症状が現れそうな状況もあります。パニック様症状とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感に襲われ、動悸や発汗、身震い、息苦しさなどが起こることです。

また、自分で何もできなくなったり当惑するような状況も、広場恐怖症の人が恐怖する対象となります。例えば、人前で嘔吐したりお腹を壊したりすること。年配の人なら転倒の恐れ、子どもでは迷子になる感覚などが挙げられます。

 

広場恐怖症のもう一つの特徴は「回避」です。恐怖や不安を感じる状況を頑なに避けようとするのです。

公共交通機関を利用しないために自宅近所の仕事を選んだり、買い物に出掛けずに済むように宅配を利用したりします。その結果、症状が重い人は、ほとんど家にしばりつけられ、引きこもりのような生活になります。

外出する場合は、家族や友人などの付き添いがあれば耐えられることがあります。患者さんによっては、家から離れるときは常に誰かに同伴して欲しいと言います。しかし、これが疾患によるものではなく、単なる性格の変化だと誤解され、夫婦の不和に陥ることもあります。

 

広場恐怖症の生涯有病率は議論の余地がありますが、いくつかの研究から2〜6%と考えられています。また、『DSM-5』によると女性は男性のおよそ2倍の有病率とされています。患者さんの2/3は初発が35歳前後で、40歳以降にも第二の発症の危険期があります。

 

● 原因

物事を否定的にとらえる気質や、子どもの頃のつらい出来事(大切な人との分離、両親の死など)、何者かに襲われる、大事なものを奪われるといったストレスの強い出来事が、広場恐怖症と関連していると考えられています。また、広場恐怖症は61%の遺伝率があるとも報告されています。

 

● 治療

広場恐怖症は慢性的で持続的なことが普通で、治療されずに自然寛解する割合は10%と少数です。しかし治療を受けるとほとんどの患者で劇的に改善します。パニック症が治療されると、しばしば広場恐怖症も次第に落ち着きます。最も有効な治療は、薬物療法と認知行動療法です。

 

薬物療法

恐怖を起こさせる刺激に直面したとき、必要に応じてベンゾジアゼピン系の薬物を用います。不安等の症状に対し、最も早い反応を示します。また、SSRIは広場恐怖症を含むさまざまな不安症状を緩和し、再発を予防するはたらきがあります。三環系と四環系薬物も、広場恐怖症の治療効果があります。

 

認知行動療法

こちらを参照してください。

 

● ほかの病気との関係

限局性恐怖症−状況型との違い

限局性恐怖症−状況型と広場恐怖症は、いくつかの症状や診断基準が同じであるため、区別が難しい場合があります。恐怖、不安、または回避の対象が1種類の状況だけに限られている場合は限局性恐怖症−状況型ですが、2種類以上なら広場恐怖症の診断が適切だと考えられます。

また、恐怖の理由がパニック様症状や耐えられない状況以外なら、限局性恐怖症−状況型のほうがより適切かもしれません。例えば、飛ぶことに恐怖する理由が航空事故が起こることなどといったように、直接的に有害なものを恐れる場合は限局性恐怖症−状況型の可能性があります。

 

分離不安症との違い

分離不安症は、両親やほかの愛着対象者からの分離が不安の理由であり、広場恐怖症はパニック様症状や耐えられない状況に対して不安を抱きます。

 

社交不安症(社交恐怖)との違い

社交不安症は、他者から否定的に評価されることが不安の理由であり、広場恐怖症はパニック様症状や耐えられない状況に対する不安です。

 

パニック症との違い

パニック症の患者さんで、パニック発作を避けようとする行動がみられても、回避する状況が2つ以上でなければ広場恐怖症と診断すべきではありません。

 

なお、広場恐怖症でもパニック症の病歴のない患者さんは、しばしば無能力化し、うつ病とアルコール依存を合併することがよくあります。不適切な自己治療手段として、お酒の飲み過ぎや鎮静剤の乱用がみられます。

 

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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